猫のアレルギー性皮膚炎について｜愛猫を守るためのヒント

アレルギーは食べ物や花粉、ハウスダストなどの特定の物質（アレルゲン）に体が過剰に反応し、さまざまな症状を起こした状態を指します。人間では花粉症や食物アレルギーがよく知られていますが、猫でもアレルギーが発生することをご存じでしょうか？
アレルギー性皮膚炎は、アレルギー反応が引き起こす皮膚の炎症で、猫における皮膚炎の主な原因の一つとされています。

今回は、アレルギー性皮膚炎について、原因や症状、治療方法などを詳しくご紹介します。

■目次
1.原因
 2.症状
 3.診断方法
 4.治療方法
 5.予防法やご家庭での注意点
 6.まとめ

原因

アレルギー性皮膚炎は、猫が特定のアレルゲンにさらされることによって引き起こされます。

・食物アレルギー
猫が摂取する食品に対するアレルギー反応が皮膚症状を引き起こすことがあります。

・ 環境アレルギー
花粉、ハウスダスト、カビなどの環境アレルゲンが皮膚炎を引き起こすことがあります。

・ノミアレルギー性皮膚炎（FAD）
ノミの唾液にアレルギーを持つ猫は、ノミに刺された際に激しい皮膚症状を示すことがあります。

これらのアレルゲンにさらされると猫の免疫システムがそれを危険とみなし、過剰に反応することで、炎症や痒みへと繋がります。

症状

アレルギー性皮膚炎の主な症状は皮膚の痒みです。
症状が悪化すると、皮膚に赤みや湿疹、肥厚、黒ずみが出現することがあります。
痒みが原因で猫が患部を舐めたり噛んだりすることで、脱毛や出血を引き起こすことも少なくありません。

これらの症状によって皮膚のバリア機能が弱まると、他の皮膚疾患を引き起こすリスクも高まります。
症状は体の特定の部位、特に頭部、首の周り、足先、脇、股、耳などに見られることが多くありますが、ノミアレルギーは腰背部に症状が現れることが特徴的です。

実際の症例について詳しく知りたい方は、こちらの症例集をご覧ください。
猫の皮膚病

診断方法

診断には、身体検査や皮膚の検査などが行われます。
猫のアレルギー性皮膚炎は、特に頭部と首の周りに症状がよく現れる傾向があるため、特にこのエリアでの症状が確認された場合、アレルギー性皮膚炎を疑います。

食物アレルギーが疑われる場合には、考えられる食材を含まないフードに切り替えて、症状の変化を観察する除去食試験が行われます。
さらに、猫の体が特定のアレルゲンにどのように反応しているかをより詳しく知るために、血液検査を行うことがあります。この検査では、血液中の特定のアレルゲンに対する抗体、特にIgE抗体が存在するかどうかを調べます。

治療方法

治療方法には、以下のようなものがあります。

＜アレルゲンの除去＞
可能な限りアレルゲンを避けることが重要です。例えば、ノミなどが寄生している場合は、駆虫薬によりノミを取り除きます。また特定の食品によるアレルギーが確認された場合は、その食品を含む食事を与えないことが重要です。

＜薬物療法＞
ステロイドや抗ヒスタミン薬などの薬が使用されます。これらの薬で痒みや炎症を軽減することにより、猫が自身の皮膚を舐めたり噛んだりする行為を減らし、皮膚の治癒を促します。

予防法やご家庭での注意点

アレルギー性皮膚炎を完全に予防する方法はありませんが、アレルゲンを避けることによってリスクを低減できます。猫の生活環境を常に清潔に保ち、ノミや他の寄生虫の予防対策を欠かさずに行いましょう。

また、アレルギー性皮膚炎になると、生涯にわたって治療を続ける必要があるため、経験豊富で信頼できる動物病院を見つけることが、非常に重要です。