FIPとは、猫コロナウイルスによって引き起こされる、致死率の非常に高い病気です。 猫コロナウイルスは本来、病原性が高いウイルスではありません。しかし何かの原因で体内にて突然変異を起こすことによって、致死性の高いFIPウイルスに変わります。高齢で発症することもありますが、多くは2歳以下と報告されています。また、多頭飼育下でも発症しやすいとも言われています。
FIPは症状によって大きく以下の2つに分かれます。
どちらのタイプも同様に、元気や食欲の低下、抗生物質に反応しない発熱、体重減少などが認められます。
FIPに感染した猫ちゃんは、目の色が赤くなったり、白くなったり、黒目の周りの色が変色することもあります。
また、神経症状が見られることがあり、眼振や運動失調、発作などの症状も引き起こします。
wet type
腹水や胸水が溜まってきます。
腹水では腹囲膨満、胸水では呼吸異常が現れることが多いです。
dry type
色々な臓器に病変を形成します。
wet typeのように体内に液体が貯留しないため症状がわかりにくいです。 病変部位によって様々な症状がでます。
猫専門の動物病院として日々たくさんの猫ちゃんを診察しています。猫は体の不調をあまり表に出さないと言われており、ただでさえ見つけづらい病気の発見を遅らせる原因にもなっています。
最近では猫の病気の研究も進んでおり、これらの病気の早期発見・早期治療ができれば、より元気に長生きさせてあげることが出来るようになってきました。
FIP治療においても猫専門病院だからこその早期発見・治療もご安心いただけるポイントであると考えております。
猫にやさしい動物病院の"道しるべ"としてisfmによって確立された「CFC(Cat Friendly Clinic)」は、国際基準の規格で世界的に普及しています。
CFCに認定された動物病院とは、猫専任従事者を設けることでより猫の専門性の高い知識と質の高い猫医療を提供することを猫のご家族に約束し、猫にやさしい動物病院の"道しるべ"となります
当院の猫医療センターが一番大切にしているのは、高度な設備とスタッフを揃えることで一匹でも多くの動物の命を助け、家族の一員として飼い主の方と充実した生活を送る手助けをすることです。
そのうえで高度な医療設備を備えた施設でありながら、必要に応じて大学病院、動物医療センター、専門病院とも連携しています。
FIP治療においても、これまで数多くのFIPの猫ちゃんの命を救われてきたFIP治療の最前線で活躍される先生をアドバイザーとしてお招きしています。
当院のFIP治療では、MUTIAN社製のXraphconnという製品を使用します。
国内では未承認の動物医薬品という扱いになりますが、すでに世界中で数千の治験例があり、高い有効性が報告されています。MUTIANを取り扱う動物病院は全国的にも増えています
MUTIAN Xraphconnとは、FIPの治療に有効とされている製品です。日本では未承認の動物医薬品として取り扱われていますが、2020年に報告されてから、現在まで様々な病院で治療が行われてきました。
MUTIAN Xraphconnの有効成分はGS-441524だと考えられており、このGS-441524がウイルスの増殖を抑えると言われています。
副作用として、血液検査における肝数値の上昇(肝臓で代謝が行われるため)や下痢・嘔吐などの消化器症状の報告があります。まだまだ不明瞭な点も多いですが、上記の副作用は許容範囲のものであり、定期的な検査によって、副作用の有無を確認していきます。
当院のグループ病院であるアリーズ猫医療センターにおいて、FIPの治療を行なっております。
FIP(猫伝染性腹膜炎)は、主に若い猫ちゃんで発症し、致死率がほぼ100%と言われていた難病でした。しかし数年前、このFIPに対して有効だと報告される製品が開発されました。それが「MUTIAN Xraphconn(ムティアン ラプコン)」です。
日本では未承認の動物医薬品になりますが、FIPは非常に進行が早いこと、少しでも多くの猫ちゃんを救いたいという思いから、MUTIAN Xraphconnを当院でも導入することに致しました。
検査・診断
投薬・治療管理
経過管理
FIPには特異的な症状がないため、診断がとても難しいです。
そのため、血液検査・画像検査・PCR検査など各種検査と症状から総合的に診断を行っていきます。
FIPは症状によって、ウェットタイプ、ドライタイプ、混合タイプの3つに大きく分類されます。
ドライタイプや混合タイプはウェットタイプよりも多い投薬量が必要となります。
少ない投薬量ですと再発のリスクが高くなりますので、獣医師へは一番ひどい時の症状をお伝えください。
投薬期間中、猫ちゃんの症状に合わせて血液検査や画像検査を行っていきます。
(MUTIAN投薬による副作用や治療効果、投薬終了の判定)
投薬当初、認められていた症状が良化しているか診ていきます。
投薬終了後、1ヶ月おきの定期健診を行っていきます。
数カ月間、再発症状が認められなければ寛解と判断し、治療を終了します。
FIPでお悩みの方は、猫専門動物病院のアリーズ猫医療センターへご相談ください。
家族の一員である猫ちゃんの命を救うため、また飼い主様の気持ちに寄り添えるよう、我々も全力を尽くしていきます。
総院長 獣医師 助川 昭宏