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猫の特発性膀胱炎とは?原因・症状・治療・予防について獣医師が解説。

猫の膀胱炎は、猫にとって非常に一般的な病気であり、特に特発性膀胱炎は、猫の膀胱炎の約60%を占めるほどです。

この記事では、猫の膀胱炎の原因、症状、診断、治療、そして予防について詳しく解説します。
飼い主として、愛猫の健康を守るために、膀胱炎について少しでも理解して頂けたら幸いです。



なぜ猫は膀胱炎になりやすいの?

猫は、犬に比べて水分摂取量が少ない傾向があります。

そのため、尿が濃縮されやすく、膀胱内で炎症が起こりやすくなります。
また、猫はストレスを感じやすい動物であり、ストレスが膀胱炎を引き起こすこともあります。



猫特有の膀胱炎:症状と兆候を見逃さないで!

<主要な症状>

• 頻尿: いつもより排尿の回数が増える。
• 排尿時の痛み: 排尿時に痛みを伴い、鳴き声をあげたり、苦しそうな表情を見せる。
• 血尿: 尿に血が混じり、ピンク色や赤色を帯びる。
• 尿の状態変化: 尿が濁っていたり、いつもと違う臭いがする。
• 異常な場所での排尿: トイレ以外の場所で排尿する。
• トイレ周辺での徘徊: トイレに行きたそうに、落ち着きなくウロウロする。

これらの症状や行動の変化に気づいたら、早めに動物病院を受診しましょう。



猫の特発性膀胱炎(FIC)とは?

<特徴>
特発性膀胱炎(FIC)は、猫の膀胱炎の中でも特に多い病気です。
その最大の特徴は、原因が特定できないという点にあります。

• 原因不明の炎症: 細菌感染や結石など、明らかな原因が見つからない。
• ストレスとの関連: ストレスがFICの発症や悪化に関与していると考えられている。
• 再発性の傾向: 一度治っても、再発しやすい。


<ストレス要因>

猫にとってのストレスは、FICの大きな原因となります。
以下の要因に注意し、猫のストレスを軽減するよう心がけましょう。

• 環境変化: 引っ越し、模様替え、新しい家具の導入など。
• 新しい家族: 新しいペットや家族の加入。
• 生活リズムの変化: 飼い主の生活リズムの変化や、騒音など。

•トイレ環境
  • 清潔度: トイレが汚れていると、猫は排泄を我慢してしまうことがあります。
  • 設置場所: 静かで落ち着ける場所に設置されているか。
  • トイレの種類: 猫砂の種類やトイレの形状が猫に合っているか。

• 飲水環境
  • 水の質: 新鮮で清潔な水が常に用意されているか。
  • 給水器の位置: 飲みやすい場所に設置されているか。
  • 水の交換頻度: 少なくとも1日に1回は交換する。

膀胱炎の診断方法

<基本検査>

• 尿検査: 尿中の細菌、結晶、血液などを調べます。
• 血液検査: 全身の状態や炎症の有無を確認します。
• 超音波検査: 膀胱の内部を観察し、腫瘍や結石の有無を確認します。

<追加検査>
• X線検査: 結石の有無を確認します。
• 細菌培養: 細菌感染が疑われる場合に行います。
• その他の専門検査: 必要に応じて、さらに詳しい検査を行います。

特発性膀胱炎(FIC)の治療方法に関して

<急性期の治療>
• 症状緩和: 鎮痛剤や抗炎症剤を使用し、痛みや不快感を和らげます。
• 環境ストレスの軽減: 静かで落ち着ける環境を提供し、ストレス要因を取り除きます。
• 水分摂取の促進: ウェットフードの給餌や新鮮な水の提供で尿の希釈を促進します。
• フェロモン療法: フェロモン製剤を使用して、猫のストレスや不安を軽減します。

<長期管理のポイント>
• 食事管理: ストレス軽減に効果的な療法食の活用。
• 環境改善: 十分な遊び道具や隠れ場所の提供。
• 適切な水分摂取: 水飲み器の種類や設置場所の工夫。
• 定期的なモニタリング: 症状再発の早期発見。

予防とケア:日々の生活でできること

<環境整備>
• 複数のトイレ設置: 猫の数+1個のトイレを用意しましょう。
• 清潔な環境維持: トイレは常に清潔に保ちましょう。
• 適切な場所選び: 静かで落ち着ける場所にトイレを設置しましょう。

<生活管理>
• 十分な水分摂取: 新鮮な水をいつでも飲めるようにしておきましょう。
• ストレス軽減: 猫が安心して過ごせる環境を整えましょう。
• 規則正しい生活: 毎日同じ時間に食事を与えたり、遊んであげたりすることで、猫の安心感を高めます。

<飲水量を増やすためポイント>
飲水量を増やすための効果的なポイント

1.清潔な水の確保
• 常に新鮮な水にアクセスできるようにする
• 水の継ぎ足しは避け、毎日完全に取り替える
• 食器は毎日洗浄して清潔に保つ
• 複数のペットがいる場合は、それぞれに専用の水入れを用意する

2.食器の選び方と設置場所
• 広口の浅い食器を選び、ヒゲが当たる不快感を軽減する
• プラスチック製は雑菌が繁殖しやすいため、陶器やステンレス製を推奨
• トイレから離れた場所に設置する(本能的に排泄物の近くの水は避ける)
• 家の複数箇所に水入れを分散配置する

3.食事の工夫
• ウェットフードを取り入れて水分摂取量を増やす
• 少量ずつ回数を増やして給餌する

4.水の魅力を高める工夫
• ササミのゆで汁など香りのついた水を提供する
• 循環式の給水器(ウォーターファウンテン)を活用し、流れる水の魅力で飲水を促す

<定期健診>
• 予防的検査: 定期的に健康診断を受け、早期発見に努めましょう。
• 早期発見: 膀胱炎の初期症状に気づいたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
• 継続的な管理: 獣医さんの指示に従い、適切な管理を続けましょう。

猫の膀胱炎に関するQ&A

※この記事では、猫でよくみられる「特発性膀胱炎」を中心にご説明していますが、膀胱炎には細菌感染や結石が原因となるものもあります。治療や対応については獣医師の診断を受けて判断しましょう。

Q1: 猫が膀胱炎になった場合、どのような食事を与えれば良いですか?
A1:
まずは獣医師に相談のうえ、膀胱炎の原因に合わせた療法食を選びましょう。特発性膀胱炎の場合、水分を多く摂れるウェットフードや、ストレスケアを目的とした食事が勧められることもあります。

Q2: 猫の膀胱炎は人間に感染しますか?
A2:
通常、人間に感染することはありません。特発性膀胱炎は感染症ではないため人へうつることはありませんが、細菌性膀胱炎の場合、ごく稀に原因菌が他の動物や人へ影響を及ぼす可能性もゼロとは言い切れません。とはいえ、日常生活で過度に心配する必要はないでしょう。

Q3: 猫の膀胱炎の治療費はどのくらいかかりますか?
A3:
症状や治療内容によって異なりますが、初診料や検査、内服薬などで一般的には数千円から数万円程度です。特発性膀胱炎が悪化し、尿道閉塞を起こした場合には外科手術(会陰尿道瘻術)が必要になることもあり、その場合は35〜40万円ほどかかることもあります。
また、膀胱結石が原因で手術が必要な場合には25〜30万円ほどかかるケースもあります。

Q4: 我が家の猫は水をあまり飲んでくれません。どうすれば良いでしょうか?
A4:
膀胱炎の予防や再発防止のためにも、しっかり水分を摂らせる工夫が大切です。
ウェットフードを取り入れたり、猫用の自動給水器を試したり、複数の場所に水飲み場を設置するなどの工夫をしてみましょう。

まとめ:猫の膀胱炎から愛猫を守るために

猫の膀胱炎、特に特発性膀胱炎は、環境因子とストレスが大きく関与する疾患です。適切な環境管理と定期的なケアが、予防と治療の鍵となります。日々の生活の中で、愛猫の様子をよく観察し、少しでも気になることがあれば、早めに獣医さんに相談しましょう。

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