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慢性腎臓病は猫に多く見られる疾患として非常に有名です。特に、15歳以上の高齢猫では約80%がこの病気にかかっているとも言われています。
 
 腎臓は体内の老廃物を排出し、血液中の電解質バランスを維持するなど、生命を維持する上で欠かせない役割を担っています。しかし、慢性腎臓病では腎臓の機能が徐々に失われていくため、病気の早期発見と適切な管理が非常に重要です。
 
 今回は猫の慢性腎臓病について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。
■目次
 1.原因
 2.症状
 3.診断方法
 4.治療方法
 5.予防法やご家庭での注意点
 6.まとめ
 
 
猫の慢性腎臓病の原因は多岐にわたりますが、残念ながら、具体的な原因は特定されていません。
 高齢になると腎臓の細胞が自然に機能を失い始めることが主な原因とされていますが、ウイルス感染症、脱水、および高血圧なども腎臓病のリスクを高めると考えられています。
 
 また、ヒマラヤンやペルシャなどの特定の猫種に見られる遺伝的傾向や、腎臓への直接的な損傷を引き起こす可能性のある薬の使用も、慢性腎臓病の原因となってしまいます。
 
 
 
慢性腎臓病は進行性の病気であり、症状は徐々に現れ、時間とともに悪化します。初期段階では、症状がほとんどないか、または非常に軽微であるため、飼い主様が気づきにくいことがあります。
 
 そして病気が進行するにつれて、多飲多尿、食欲不振、体重減少、嘔吐、下痢、毛並みの劣化などの症状が現れます。また、貧血や口内炎、高血圧などが発生することもあります。
 
 
 
診断は、以下のような臨床症状、身体検査の結果、および特定の診断テストの結果に基づいて行われます。
 
 ・身体検査
 まず、一般的な健康状態の評価、体の異変、脱水の徴候などを確認します。
 
 ・血液検査
 慢性腎臓病を診断する上で血液検査は重要です。主に、BUN(尿素窒素)、クレアチニン、およびSDMA(対称性ジメチルアルギニン)のレベルが測定されます。これらの値が高い場合、腎機能の低下を示しています。
 また、貧血や電解質バランスの異常など、慢性腎臓病に伴う他の病気も見つかることがあります。
 
 ・尿検査
 尿検査によって、腎臓が尿中の老廃物をどの程度効率的に処理しているかを評価できます。尿比重(尿の濃縮能力)の測定、タンパク尿の存在の確認などが行われます。尿比重が低いと、腎臓の濾過機能が低下している可能性があります。
 
 ・血圧測定
 慢性腎臓病の猫は高血圧を発症することがあります。高血圧は腎臓病の進行を加速させるだけでなく、心臓病や視力の問題を引き起こす可能性があるため、血圧の測定も慢性腎臓病の診断プロセスの一部となります。
 
 ・X線(レントゲン)、超音波検査(エコー)
 X線検査や超音波検査は、腎臓の形状、大きさ、および構造の異常を視覚的に評価するのに役立ちます。検査により、腎臓の石や腫瘍など、その他の異常が見つかることもあります。
 
 これらの検査を行うことで、慢性腎臓病の存在やその進行度を確認し、適切な治療計画を立てていきます。
 
 
 
慢性腎臓病によって一度失われた腎機能は、残念ながら回復することはありません。そのため、慢性腎臓病の治療は、病気の進行を遅らせ、愛猫の生活の質を向上させることを目的としています。
 治療方法は、以下のように様々な方法を組み合わせて行います。
 
 ・食事療法
 腎臓病専用の療法食 (リン、ナトリウム、タンパク質が制限された特別な療法食)が推奨されており、腎臓にかかる負担を軽減し、病気の進行を遅らせるのに役立ちます。
 
 ・脱水の管理
 脱水状態が続くと腎臓に大きな負担がかかり、腎機能が大きく低下します。そのため、愛猫が常に清潔で新鮮な水を飲めるようにしましょう。
 また、脱水の症状がある場合や腎臓の機能をサポートするために、定期的な皮下輸液が推奨されることがあります。
 
 ・血圧のコントロール
 高血圧は慢性腎臓病の一般的な合併症となるため、血圧を下げる薬で管理する必要があります。
 
 それ以外にも、貧血治療や尿毒症、口内炎など、症状に応じて治療が行われます。
 
 
 
慢性腎臓病の予防には限界がありますが、定期的な健康診断により早期に病気を発見し、適切な治療を開始することが重要です。また、愛猫が十分な量の水を摂取できるようにし、健康的な食事を提供することも役立ちます。
 
 愛猫の行動や健康状態の変化に注意を払い、異常が見られた場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
 
 
 
猫の慢性腎臓病は治療が難しい病気ですが、早期発見と適切な管理により、猫の快適な生活を支えることが可能です。飼い主様は猫の日常の健康管理に注意を払い、シニア期に突入したら半年に1回健康診断を受けるようにしましょう。
 
 アリーズ猫医療センターを含むアリーズ動物病院グループは、キャット・フレンドリー・クリニックGOLD認定を取得しており、ストレスの少ない「猫に優しい環境」づくりを心掛けております。
 健康診断のプランも複数ご用意がありますので、気になることがあればぜひお気軽にご相談ください。
 
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 また、「症例集」でも猫の慢性腎臓病についてご紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
 
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